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太陽フレアが与える意外な影響 ― 私たちの暮らしとITに知っておきたいこと

11月11日(世界時)に太陽で、X5.1クラスという非常に強力な太陽フレアが発生しました。

これは今年最大級の規模であり、次いで地球方向へのコロナ質量放出(CME)が確認されています。

国内では11月12日付けで、情報通信研究機構(NICT)が「太陽面で大規模な爆発現象を確認、地球近傍の宇宙環境や電離圏の乱れに注意を」と警告しています。

これをきっかけに「太陽フレアってただオーロラが見えるだけじゃないの?」と思っている方も多いかもしれません。

しかし、実は私たちの通信、交通、インフラ、さらには仕事の仕方にも影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、太陽フレアの仕組みを整理したうえで、日常・社会・ITインフラに与えうる影響と、私たちが知っておくべき対策をわかりやすく解説します。

太陽フレア/CMEとは何か? ― 基本を抑える

太陽フレアは、太陽の黒点付近で磁気が急激に再結合して起こる爆発現象。

大量の電磁放射(X線・紫外線)を一気に放出します。

CME(Coronal Mass Ejection:コロナ質量放出)は、太陽フレアに伴い、プラズマと磁場を含む物質の塊が太陽から吹き出し、地球に到達することがあります。

11月11日のX5.1フレアでは、このCMEが地球に向かって飛んでおり、11日〜13日あたりで強い地磁気嵐(G4レベル)が予測されています。

地磁気嵐とは、地球の磁場が太陽由来の高エネルギー粒子によって乱される現象で、発生時には電離圏・通信・誘導電流など複数の影響が出ます。

私たちの暮らし・インフラに与える影響

目に見える変化

オーロラ(極光)が通常より低緯度でも観測される可能性。

日本国内でも“北の空にオーロラが見える?”という報道が出ています。

夜間の空を見上げる楽しみとしては希少イベントですが、その裏側には注意すべき技術的リスクがあります。

生活・IT・ビジネスへの影響

航空機・高高度路線:太陽フレアによるプロトン線、宇宙線の増加により航空機の乗客・乗務員の被曝量が若干増える可能性。特に極地ルートを使う便で影響あり。

衛星/GPS/通信システム:電離圏の乱れや誘導電流の変動が、衛星通信・GPS測位の精度低下、短波通信障害を引き起こすことがあります。日本でも「例年よりGPS精度が落ちる可能性」と言われています。

電力インフラ・地上の送電線:強い地磁気嵐が起こると、地面を流れる誘導電流が増加し、大規模送電網に影響を与えた歴史があります。火力・水力・送電所のシステム監視が強化される可能性。

金融・トランザクションシステム:通信遅延や衛星リンク不具合がデータセンター/取引システムに影響を与える可能性があるため、冗長構成やフェイルオーバー設計が重要になります。

ビジネス/リモートワーク:クラウドサービスも、衛星通信やネットワーク経由での接続が多いため、通信遅延・接続障害のリスクを念頭にバックアップを考えておくと安心です。

“IT/インフラ担当者”が押さえるべきポイント

重要システムの監視強化

地磁気嵐予報(G-スケール)が出されたら、衛星リンク・通信回線・GPS依存サービス等の障害予防体制を確認。

冗長化・フェイルオーバー設計

衛星/短波/地上回線を組み合わせた代替経路の確保。

バックアップ・復旧手順の確認

輸送・通信インフラ・データベースといった核心部分の停止シナリオを想定しておく。

傾向把握と対策訓練

過去の太陽フレア・地磁気嵐被害事例を社内で共有し、模擬訓練を実施。

個人リテラシーへの配慮

モバイル通信/GPSアプリを利用する部門員・在宅ワーク社員には、通信不調時の手順(セーブ・遅延への備え)を周知。

今後の展望と注意点

・太陽活動周期(約11年)によって「最大期」と「静穏期」があり、現在は活動が活発化しているフェーズとの観測あり。

・今回のような強力なフレア+CMEは珍しいものの、想定外のタイミングでの発生リスクは今後も存在。

・「宇宙天気(Space Weather)」の予測制度もまだ完璧ではなく、予報精度・到達時間のズレがあるため、即時対応できる体制づくりが鍵です。

・個人の視点では、「突然の通信障害」「GPS誤差」など“いつもの不具合”が宇宙天気起因かもしれないという認識を持っておくと、冷静に対処できます。

 

【今日のサクッとチェック!】

IT/インフラ関係者は予兆を捉え、監視・冗長化・バックアップ設計を今一度確認!

 

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