円安と物価高、私たちの暮らしに何が起きているのか
「最近、何を買っても高く感じる」「円安って結局どういう意味?」――
2025年の日本では、多くの人がこの“物価の上昇”を肌で感じています。
スーパーの食品、ガソリン、電気代、外食、旅行、輸入品…。
生活のあらゆる部分で値上げが続き、その背景には「円安」が大きく関係しています。
では、なぜ円安になると物価が上がるのか。
そして、今の日本経済はどこに向かおうとしているのでしょうか。

円安とは? ― “1ドル買うのに必要な円が増える”状態
円安とは、簡単に言えば「円の価値が下がる」ことを指します。
たとえば、1ドル=100円だったものが、1ドル=160円になったとします。
このとき、同じ1ドルの商品を買うために以前より多くの円が必要になる――
つまり、輸入品が高くなるという仕組みです。
日本はエネルギーや食料など、多くを海外から輸入しています。
そのため、円安が進むと企業の仕入れコストが上がり、結果的に私たち消費者の支出に跳ね返ってきます。
物価高の背景 ― “円安”と“インフレ”が同時に進む時代
2025年の日本では、物価上昇率(CPI)は前年比で3%前後。
一方で、為替は1ドル=155〜160円台と、過去30年で最も円安水準にあります。
この“円安+インフレ”のダブルパンチには、いくつかの要因が重なっています。
日米の金利差
アメリカが高金利を続けているのに対し、日本は超低金利を維持しているため、投資マネーが円からドルへ流出。
エネルギー価格の上昇
原油・LNGなどの輸入コストが高止まりし、電気・ガス料金に影響。
企業の価格転嫁
これまで“値上げを我慢していた企業”が、人件費やコストを反映させ始めた。
つまり、世界的な物価上昇に加えて「円の価値が下がる」ことで、輸入インフレが起きているのです。
家計にどう影響しているのか
円安と物価高の影響は、家庭の支出構造にじわじわと表れています。
・食料品:輸入小麦・油・コーヒー豆・チョコレートなどが値上がり
・光熱費:電気・ガス代が昨年より10〜20%高い水準
・旅行:海外旅行は割高化、逆にインバウンド(訪日外国人)は増加
・外食・日用品:コスト上昇により、メニュー・製品サイズの縮小も
一方で、企業による賃上げも進みつつあります。
2025年春闘では平均賃上げ率が**5.2%**と、30年ぶりの高水準を記録しました。
ただし、物価上昇率と賃上げ率がほぼ拮抗しており、実質的な生活改善は感じにくいという声が多いのが現実です。
円安の“裏側のメリット”もある
円安は悪い面ばかりではありません。
海外から見れば、日本製品や観光が“割安”に見えるため、
・外国人観光客(インバウンド)の増加
・輸出企業の業績改善(自動車・製造業など)
・海外からの投資誘致の活発化
といったポジティブな効果もあります。
つまり、円安は「輸出企業や観光業には追い風」「輸入・消費者には逆風」という両面性を持つのです。
これからどうなる? ― 「円安定着時代」との付き合い方
日銀が大幅な利上げを行わない限り、急激な円高への転換は見込みにくいとされています。
2026年にかけては、「1ドル=150円前後で安定」という見方が有力です。
この“円安定着時代”においては、私たち一人ひとりが「自分のお金を守る」知識を持つことが大切です。
たとえば、
・投資・外貨預金などを活用してリスクを分散する
・家計簿アプリで支出の可視化を徹底する
・電気・通信・保険などの固定費を見直す
こうした行動が、円安・物価高の時代を賢く生き抜くポイントになります。
【今日のサクッとチェック!】
これからは「家計のリスク分散」がカギ――お金を“守る力”が問われる時代へ。