個人投資時代の落とし穴:SNS投資情報に惑わされない思考術
投資が「特別な人のもの」ではなくなった今、X(旧Twitter)やYouTube、TikTokなどで、「おすすめ銘柄」「この株が爆上げ」
――そんな言葉を見かけることは日常になりました。
2025年現在、個人投資家の約6割がSNSを情報源のひとつとして活用しているという調査もあります。
しかし、その便利さの裏に、思わぬ“落とし穴”が潜んでいます。

情報が“多すぎる”時代の投資リスク
SNSの投資情報は、スピードと拡散力が魅力です。
プロのアナリストだけでなく、個人投資家、インフルエンサー、AI生成の投稿までもが情報を発信します。
ところが、
・その情報が正しいとは限らない
・投稿者に金銭的な意図(PR・アフィリエイト)がある場合がある
・情報が一方向的・感情的に偏ることも多い
つまり、SNSは「情報の宝庫」であると同時に、「ノイズの海」でもあるのです。
初心者がこの波に飲まれると、「雰囲気投資」「FOMO(取り残される不安)投資」になりやすくなります。
“投資インフルエンサー”の光と影
フォロワー数の多い投資系インフルエンサーの中には、確かに有益な情報を提供する人もいます。
しかし一方で、
・自身が保有する銘柄を買い煽る「ポジショントーク」
・根拠が薄い“爆益ストーリー”で再生数を稼ぐ動画
・AI生成の“なりすまし投資アドバイス”
など、信頼性が不明確な発信も急増しています。
特にXやYouTubeでは、「短期で10倍になった」「たった1ヶ月で100万円増えた」など、感情に訴えるタイトルが拡散しやすく、冷静な判断を鈍らせる傾向があります。
投資の本質は「長期的・継続的な判断」。
目先の“話題株”ではなく、数字と実態を見抜く冷静さが問われます。
SNS時代の「情報リテラシー投資術」
SNSを完全に遮断するのは現実的ではありません。
大切なのは、「見極める力」を持つこと。
以下の3つを意識するだけで、投資判断の精度は格段に上がります。
情報の出どころを確認する
投稿者のプロフィール、職業、金融免許、PR表記の有無をチェック。
“誰が得をする情報か?”を意識することが大切です。
複数のソースで裏を取る
一つのSNS投稿を鵜呑みにせず、証券会社のレポートや企業のIR情報など、一次情報に当たる習慣を持つ。
“数字”より“意図”を読む
「この株が上がる」ではなく、「なぜそう思うのか」。
論理や根拠があるかどうかを見極めることが、リテラシーの第一歩です。
AI時代の“偽情報”にも注意
最近では、AIが自動生成した「投資ニュース」や「偽アナリスト動画」も出回っています。
特に生成AIを活用したフェイク広告では、有名投資家の写真や声を模倣して“信頼できそうに見せる”ケースも増加中です。
こうした情報は、SNSの拡散アルゴリズムによって急速に広がります。
クリック数が増えるほど表示される――
という仕組みそのものが、刺激的な投稿を優先してしまうのです。
本当に信頼できる情報とは?
結局のところ、投資で最も信頼できるのは、
・企業の公式IR情報
・証券取引所や金融庁などの公的発表
・自分の“理解できる範囲”での判断
これらに尽きます。
「誰かが儲けた」という情報ではなく、「自分が納得できる」投資を積み重ねることが、長期的に資産を守る唯一の方法です。
【今日のサクッとチェック!】
投資の最終判断は「自分の理解できる範囲」で行うのが鉄則!
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